2015年09月23日

本棚★「学力」の経済学

本との出会い:お薦めされて

Amazon教育学カテゴリのベストセラーにもなった本書▼▼


良く見られる精神論的な教育本ではなく、あくまでもエビデンス(科学的根拠)に基づいて書かれた本。
著者の中室牧子さんも触れていますが、本書に掲載されている実験データはほとんどアメリカのものです。日本は、ほぼ公開されていない(というか、まとめるのには不十分な数字しかないのかも…)状態。
是非、本書のヒットをきっかけに、教育に関する開かれた統計が国内でも進むと良いですね。
少しだけ、面白いと思った内容をいくつかご紹介します。

●ご褒美実験
「テストで良い点を取ればご褒美」と「本を読んだらご褒美」、どちらが効果的?
アメリカのフライヤー教授が行った実験で、実験費用なんと94億円、約250校、小2〜中3にあたる約3万6千人の子供が参加した大規模なものだったそうです。

2つのグループに分け、どちらのグループが学力テストの結果が良くなるか。
1つは、アウトプットに対する報酬、すなわち学力テストや通知表の成績などをよくすることにご褒美を与えるというグループ。
もう1つは、インプットに対する報酬、すなわち本を読む、宿題を終える、学校にちゃんと出席する、制服を着るなどのことにご褒美を与えるというグループ。
ご褒美をもらえる状況は全く逆ですね。

それぞれ条件を提示された生徒の学力テストの結果がどうなるかといったものなのですが、
何と結果はインプットにご褒美を与えられた子どもたちのほうが良いものだったとのこと。

インプットと言っても数あるものですが、特に本を読むことにご褒美を与えられた子どもたちの学力の上昇は顕著だったそうです。一方、アウトプットにご褒美を与えられた子どもたちの学力は、ほとんど改善されなかったとのこと。意外でした。
この結果だけでもなるほど、と思うのですが、本著ではさらにこのようにまとめています。

なぜテストで良い点を取ったらご褒美、というグループに学力向上の結果が見られなかったのか。
鍵は、子ども達が「ご褒美」にどう反応し、行動したかということにありました。
「インプット」にご褒美が与えられた場合、子どもにとって、何をすべきかは明確です。
本を読み、宿題を終えればよいわけです。一方、「アウトプット」にご褒美が与えられた場合、何をすべきか、具体的な方法は示されていません。
ご褒美は欲しいし、やる気もある。しかし、どうすれば学力を上げられるのかが、彼ら自身にはわからないのです。
⇒まず、「勉強の仕方」を勉強することが重要。


うーん、腑に落ちる…。
教育などの分野は、個人の経験論(大変すばらしい教えも沢山ありますので否定ではありません!)を通して語られたものが多い中、この本は一味違ったものでした。
他にも、
・ゲームは子どもに悪影響か?
・「お金」はよいご褒美なのか?
・少人数学級は本当に効果があるのか?
など、面白い問題提起と結論が掲載されています。

日本でも、学力テストの結果が都道府県別に公表されてるじゃないか、と思う方もいると思いますが、どうやらそれも経済学者の観点からすると、やや数字の背景がずれているようです。
もし、学力の平均結果を公表するなら、家庭の資源を表す情報もつけて公開するべきだと。
※家庭の資源:学区の生活保護率、就学援助率、学習塾等事業所の数や売上など

本書ではアメリカのデータが主でしたが、やはり日本でもこういった取り組みは進めるべきだと感じます。
やはり、その国の文化などにも影響は出るはずですから…。
良い本に出会えました^^

posted by 船井総研 村田 at 19:30| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本棚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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